九月十日
九月十日即事 李白
昨日登高罷み
今朝更に觴を挙ぐ
菊花何ぞ太だ苦しき
此の両重陽に遭う
拙訳:
昨日登高の宴は終わったのに
今朝も更に盃を挙げている。
菊の花には何とも気の毒なこと、
このように
二度目の重陽に出逢うとは。
左遷されちゃったし、
と勢いに任せて
朝からやけ酒の迎え酒で詩を一篇。
さすが李白大先生。
あっぱれです。
時代は下り、国は異なれど
菅原道真公が配流先の大宰府で
嘆きながら詩を詠じたのも
同じ九月十日でした。
九月十日
去年の今夜清涼に待す
秋思の詩篇獨り斷腸
恩賜の御衣は今此こに在り
捧持して毎日餘香を拝す
拙訳:
去年の今夜は清涼殿で
お傍近くお仕えしていたのに。
「秋思」という勅題で
詩篇を詠んだこと、
ただ断腸の思いなり。
あの折賜った御衣は
今もここにある。
毎日捧げ持っては
残り香を拝するばかり。
こんな嘆き節まで
大和言葉のお歌ではなく
外国語の詩にできてしまうところが
この方の才能であり
弱点でもあったのでしょうか。
そんなこんなであっちもこっちも
思うに任せぬは人生と
思い知らされる今日、
九月十日でございます。
おはようございます。
最近のコメント