般若心境
感染自在菩薩
行政対策波羅三蜜多時
短期集中皆空
度一切苦厄
指揮即是空
空即是指揮
感染自在菩薩
行政対策波羅三蜜多時
短期集中皆空
度一切苦厄
指揮即是空
空即是指揮
コロナ禍の勢いは絶へずして
しかも元のウイルスにあらず。
流れに任せしGo to政策の
かつ勧め
かつ躊躇ひて
経済効果のある試しなし。
世の中にある人も
またかくの如し。
たましきの都のうちに
外食に並び、紅葉狩に争へる。
はやり病は世々を経て尽きせぬものなれど
オリンピックは開催かと尋ぬれば、
民意にては賛意まれなり。
上意の朝にあり、夕べになくなるならひ、
ただ水の泡ぞ似たりける。
三密五小の知事の声
対策無効の響きあり。
担当相の顔の色
感染者必増の理を表す。
トラベルイートも久しからず
ただ春第一波の夢の如し。
三連休もついには滅びぬ
ひとへに風の前の枯葉に同じ。
寒雀 楊万里
百千の寒雀空庭を下り
梅梢に小集して晩晴を話す
特地に団を作して我を喧殺す
忽然として驚き散じ寂として声無し
拙訳
何羽もの寒雀が
人けのない庭に下りてきた。
梅の梢に集まって
夕べの晴れ間を語り合っている。
ことさらに群れをなして
やかましく騒ぎ立てていたが
突然驚いたように飛び去ると
後は静まり返って
物音ひとつしない。
夕刻の冬の庭を描いた
一幅の絵のような詩を
からりと晴れた初冬の朝に。
おはようございます。
早冬 白居易
十月江南天気好し
可憐の冬景春華に似たり
霜は軽く未だ殺らさず萋萋たる草を
日は暖かく初めて乾く漠漠たる沙
老柘葉は黄にして嫩樹の如し
寒桜枝は白くして是れ狂花
此の時却って羨む閑人の酔うを
五馬酒家に入る由も無し
拙訳
十月の江南は天気がいい。
冬の景色がまるで春のように華やかだ。
霜は軽く、青々と茂る草をまだ枯らすこともなく
陽射しは暖かく、広がる砂原を乾かし始めている。
老いた桑は葉を黄に色づかせ、若木のよう。
寒桜の枝が白く見えるのは帰り花が咲いているのだ。
こんな時には、閑人が酔っているのが羨ましい。
五頭立ての馬車に乗る身で酒屋には入れない。
白楽天先生、
ちっぽけな自尊心などこの際打ち捨て
馬車を停めて
閑人らと杯を交わしてはいかがでしょう。
この里は冬おく霜のかろければ
草の若葉ぞ春の色なる
藤原定家
霜は軽く、草はまだ春の色だし。
天地既愛酒
愛酒不愧天
天地が酒を愛するのだから
酒を愛することで
天に愧じることはない。
って
李太白先生も詠じておいでではありませんか。
贈劉景文 蘇軾
荷は尽きて已に雨を擎ぐる蓋無く
菊は残はれて猶ほ霜に傲る枝有り
一年の好景君須らく記すべし
正に是れ橙は黄に橘は緑なる時
拙訳
劉景文に贈る
蓮の花は枯れ果て、
傘のように雨を防ぐ葉も
すでにない。
菊の花は散って
枝だけが残り、
霜に耐えている。
一年で最も美しいこの光景を
君は心に記しておくれ。
今まさに橙は黄に色づき、
みかんはまだ緑、
そんな時なのだから。
橙が黄に色づき始め
みかんはまだ青い。
そんな美しい時。
おはようございます。
九月十日即事 李白
昨日登高罷み
今朝更に觴を挙ぐ
菊花何ぞ太だ苦しき
此の両重陽に遭う
拙訳:
昨日登高の宴は終わったのに
今朝も更に盃を挙げている。
菊の花には何とも気の毒なこと、
このように
二度目の重陽に出逢うとは。
左遷されちゃったし、
と勢いに任せて
朝からやけ酒の迎え酒で詩を一篇。
さすが李白大先生。
あっぱれです。
時代は下り、国は異なれど
菅原道真公が配流先の大宰府で
嘆きながら詩を詠じたのも
同じ九月十日でした。
九月十日
去年の今夜清涼に待す
秋思の詩篇獨り斷腸
恩賜の御衣は今此こに在り
捧持して毎日餘香を拝す
拙訳:
去年の今夜は清涼殿で
お傍近くお仕えしていたのに。
「秋思」という勅題で
詩篇を詠んだこと、
ただ断腸の思いなり。
あの折賜った御衣は
今もここにある。
毎日捧げ持っては
残り香を拝するばかり。
こんな嘆き節まで
大和言葉のお歌ではなく
外国語の詩にできてしまうところが
この方の才能であり
弱点でもあったのでしょうか。
そんなこんなであっちもこっちも
思うに任せぬは人生と
思い知らされる今日、
九月十日でございます。
おはようございます。
「秋思」 張籍
洛陽城裏秋風を見る
家書を作らんと欲して意万重
復た恐る怱怱にして説き尽くさざるを
行人発するに望んで又封を開く
拙訳
洛陽の城内に秋風を見る。
故郷に手紙を書こうとすると、
さまざまな思いが巡る。
急ぎ書いて
思いを言い尽くしていないのではと案じられ、
手紙を託す旅人が出発するに及んで、
また封を開いてしまった。
言葉を尽くして
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処暑から一夜明け
風が爽やかにに感じられる一日でした。
秋吹くはいかなる色の風なれば
身にしむばかりあはれなるらむ
和泉式部
吹きくれば身にもしみける秋風を
色なきものと思いけるかな
紀友則
秋の風は陰陽五行思想から
「素風」とも「金風」とも呼ばれます。
「色なき風」は白、素風のこと。
石山の石より白し秋の風
芭蕉
夕月夜。
色なき風が汗ばんだ肌を
やさしく撫でて過ぎていきます。
暑となるらしき朝。
唐突ではございますが
唐土は群雄割拠の時代の
熱い詩を二篇ばかり。
判官贔屓に傾くのは
人の心の常のようで
ご存知『三国志演義』では
劉備は仁徳の人。
曹操は奸雄、悪役として
描かれています。
個人的には優柔不断で
感情に流されがちな劉備より、
知力も決断力も統率力もある
曹操に心惹かれます。
曹操は、武将として卓越した資質の
持ち主であったばかりではなく、
優れた詩人としても名を遺しています。
この才能は息子たちにも受け継がれ、
三曹と言えば
曹操曹丕曹植親子のこと。
本日の漢詩は
三国志に登場する曹ファミリーの
二篇でございます。
まずは曹操が赤壁の戦いで
詠じたとされる詩。
酒に対して当に歌うべし
人生幾何ぞ
譬えば朝露の如し
去る日は苦(はなは)だ多し
慨して当に以て慷(こう)すべし
幽思忘れ難し
何を以てか憂いを解かん
唯杜康(とこう)有るのみ
拙訳:
酒を前にしたらとことん歌うべきだ。
人生がいかほどのものか。
喩えれば朝露のように儚いものだ。
日々はただ過ぎていく。
思いが高ぶり、
嘆き声は大きくなっていく。
沈む思いを忘れ去ることはできない。
一体どうやってこの憂いを解くのだ。
ただ酒を呑むしかない。
威風堂々の歌いっぷり、
戦いの最中に余裕たっぷりですね。
残念ながらこの後、
孫権劉備の連合軍の火攻めに大敗、
遁走なさいましたが。
曹操の跡を継ぎ魏王となった曹丕は
すぐに粛清を始めます。
一番のライバルだった弟の曹植を
「七歩進む間に詩を一篇詠まねば
死刑に処す」と脅し、
曹植が即興で詠んだとされる歌。
七歩詩 曹植
豆を煮て持って羹(あつもの)と作(な)し
豉(し)を漉して以って汁と為す
萁(き)は釜の下に在りて然(も)え
豆は釜の中に在りて泣く
本は同根より生ずるに
相ひ煎ること何ぞ太(はなは)だ急なると
拙訳:
豆を煮てあつものを作り
つぶした豆を濾して汁にする。
豆がらは釜の下で燃え
豆は釜の中で泣く。
もとは同じ根から生まれたものなのに
なぜ煎られねばならないのか。
実話かどうかはともかくとして
無才の身は曹植の
即興でかような優れた詩を詠む才に
ひたすら憧れるばかりでございます。
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