暑中閒詠 蘇舜欽
嘉果浮沈酒半醺 嘉果浮沈して酒半ば醺い
牀頭書冊乱粉粉 牀頭の書冊乱れて粉粉
北軒涼吹開疎竹 北軒に涼吹きて疎竹開き...
臥看青天行白雲 臥して看る青天に白雲の行くを
拙訳
冷えた果物が水に浮き沈みし、私はほろ酔い気分だ。
枕元には本が乱れ散らばっている。
北側の部屋に涼風が抜けて、竹垣が開いた。
横になったまま青い空に白い雲が流れて行くのを眺める。
舜欽さんったら、昼間っからお酒。
効くんですよね、これが。
ガラス鉢に氷水を張って
ボトルと一緒に
桃だの葡萄だの、冷やしたりして、ね。
甘い桃をいただきながら
キーンと冷えたスパークリングワイン。
グラス片手に本のページを繰って、
キーツの詩なんか詠じたりして。
なぁんて夢見がちなけだるい昼下がり。
キーツどころじゃありませんよ。
今日こそはたまった仕事をかたづけなくっちゃ。
皆様におかれましては
お暑さの折
どうかお身体おいといあそばされますよう。
「書は人なり」などと申しますが、
書には書いた人の人となりがおのずと表れるもの。
中国唐代の書家・柳公権は
書の上達法を問われ、
「用筆は心にあり、心正しければ筆正し」
と答えたそうな。
パソコンのキーボードを打ちながら
いきなり背筋が伸びまする。
正倉院で知られる聖武天皇の御妃・光明皇后は
東大寺・国分寺・国分尼寺の建立に貢献し
悲田院・施薬院を設置するなど仏教信仰に篤い、
慈悲深いお方でいらしたことが知られています。
お名前の「光明子」は光り輝くように
お美しくあらせられたことから。
私の名前は「真美」ですが、それはさておいて。
奈良の薬師寺に祀られる国宝・吉祥天女画像は
光明皇后の美しいお姿を写したものと伝えられ、
また皇后は藤原道綱母、衣通姫とともに
「本朝三美人」と謳われています。
『尊卑分脈』に道綱母が
「本朝第一美人三人内也」と記されている以外は
出典不明、ならびに選考基準も不明。
時代の隔たりが少々突飛ではございますが
それぞれ数百年に一人しか出現しないほどの
類稀なる美しさであられたということで
この場はさりげなく流すといたしまして。
光明皇后については、
その慈愛の深さ、心の清らかさゆえに
さまざまな美談伝説が伝えられています。
ご病弱な聖武天皇を支え、
平癒を願って仏教に帰依した、
姿も心も気高き、天女のように美しき皇后。
こうした日本史の教科書で読んだような解説から目を転じ
さて、正倉院に遺された聖武天皇の宸翰と
光明皇后の筆による書の筆跡を比べ見ますと、
教科書の記述には見えなかった「人」が
いきいきと見えてきます。
ご病弱であらせられたという聖武天皇の宸翰は
素人目にも柔らかく、細い線で
丁寧に書かれている。
一方、光明皇后の書は、堂々として力強い。
その筆跡からは、気丈で
しっかりとした意志を持った女性、
優しさだけではない、
毅然とした強さを兼ね備えた女性の姿が思い浮かびます。
千数百年の時を経ても
書とはかように書いた人の人となりを物語るもの。
書いた字が人柄を語るとあらば
「字は苦手」で放っておくわけにはまいりません。
こつがわかれば、字は確実にきれいになります。
きれいな字を書くこつをお教えしております。
【きれいな字を書く美文字講座】 全10回
自己流の癖を直しつつも、持ち味や個性は残して
万年筆やペン、筆ペン、毛筆で、
柔らかでなめらかな字が書けるようになります。
ひらがなのこつ、正しい字の形、くずし方。
漢字のこつ、部首の形、くずし方、楷書と行書。
字を書くことに自信が持てるように
丁寧にお教えいたします。
思い立ったが吉日、善は急げとも申します。
どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。
春はあけぼの。夏は夜。秋は夕暮れ。冬はつとめて。
『枕草子』のいきいきとした流れるような文章を読むと、
日々の暮らしの中に「いとをかし」を見出していた、
清少納言のときめく心が伝わってきます。
季節の移ろいや身の回りの小さなことがらにも、
慈しみと愛情にあふれたまなざしで、
生きることの喜びを見つけ、心を躍らせることの「いとをかし」。
人生を愉しみ、笑って過ごすことをよしとした
清少納言の生き方こそ「いとをかし」です。
知性と感性を研ぎ澄まし、
暮らしの中に隠れている心を躍らせるもの、
ときめかせることに目を向け、愉しむことで、
人生はずっと彩り豊かになります。
情報に惑わされ、自分がどこに行きたいのか、
何を目指しているのかすらわからずに、
ただ新しいものやことを追い続けている、
あふれんばかりのたくさんのものに囲まれていながら
満たされることを知らない私たち現代人の生き方を
清少納言なら「いとわろし」と書いたかもしれません。
雪月花を愛で、花鳥風月に親しみ、
自然とともに生きる暮らしは
氾濫する情報やめまぐるしく変わる価値観に
流されていた心を和ませ、瑞々しく潤してくれます。
春の花、夏の風、秋の月、冬の雪。
日本には、日々の暮らしの中にこそ、美を、
そして喜びを見出してきた歴史と伝統があります。
外に向けて贅を尽くすことにではなく、
身近にある美しいものやことを慈しみ、
特別ではない当たり前の暮らしの中に幸せを見出し、ときめき、笑い、
時には苦しみや悲しみの中にさえ微笑みをみつける生き方。
そんな生き方こそ「いとをかし」ですね。
二月八日。旧暦の新しい年が始まりました。
年の内に春は来にけり一年(ひととせ)を
去年(こぞ)とや言はむ今年とや言はむ
古今和歌集の第一首は、暦のいたずらで
新年より先に春が来たことを詠った在原元方の歌。
正岡子規は「しゃれにもならぬつまらぬ歌」と貶めておりましたが、
軽口のひとつもたたきたくなるような、
うきうきした心が伝わってくるではありませんか。
生きとし生けるものは皆、そわそわと歌い出したくなる春。
佐保姫様もすでにお目覚めです。
どうぞ心晴れやかに「いとをかし」の春をお愉しみくださいませ。
書家の先生のもと、古筆の臨書に
ひたすら励んでいらした方から、ご相談を受けました。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 |
14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 |
28 |
最近のコメント