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丹生谷真美のフィニッシングスクール

カテゴリー「書籍」の記事

2017年7月30日 (日)

暑中閒詠 

暑中閒詠 蘇舜欽

嘉果浮沈酒半醺   嘉果浮沈して酒半ば醺い
牀頭書冊乱粉粉   牀頭の書冊乱れて粉粉
北軒涼吹開疎竹   北軒に涼吹きて疎竹開き...
臥看青天行白雲   臥して看る青天に白雲の行くを

拙訳

冷えた果物が水に浮き沈みし、私はほろ酔い気分だ。
枕元には本が乱れ散らばっている。
北側の部屋に涼風が抜けて、竹垣が開いた。
横になったまま青い空に白い雲が流れて行くのを眺める。

舜欽さんったら、昼間っからお酒。
効くんですよね、これが。

ガラス鉢に氷水を張って
ボトルと一緒に
桃だの葡萄だの、冷やしたりして、ね。

甘い桃をいただきながら
キーンと冷えたスパークリングワイン。

グラス片手に本のページを繰って、
キーツの詩なんか詠じたりして。

なぁんて夢見がちなけだるい昼下がり。

キーツどころじゃありませんよ。
今日こそはたまった仕事をかたづけなくっちゃ。

皆様におかれましては
お暑さの折
どうかお身体おいといあそばされますよう。

2017年7月 7日 (金)

人間の四月

定子中宮様が御父君の服喪中、
朝所で過ごされた七夕の折のことなんだけれど。

宰相の中将斉信様が、中将の源宣方様、
少納言の源道方様とご一緒に訪ねていらして。

...

女房たちが端近に出て応対していたところに
いきなり
「明日はどんな詩を吟じられるのかしら」
と問いかけてみたの。

斉信様はほんのちょっとためらって、
すぐに
「人間の四月だね」
とお答えになったのが、
もうほんとに「をかし」。

過ぎたことなんかを心得ていて言うのは
誰だって「をかし」だけれど、
女は特に過去を忘れないものよね。

男はそうでもない、
自分が詠んだ歌だってうろ覚えだったりするのに、
斉信様ったら、最高に「をかし」だわ。

御簾の内の女房たちも外の殿上人も、
「なんのことだか、ちっともわかんない」
って顔してるのも無理ないの。

四月の初め頃、
内裏の細殿に殿上人が大勢いらしてたんだけれど。

それがだんだん一人ずつ退出されて
斉信様と宣方様と蔵人一人だけが残って、
おしゃべりしたり歌を詠じたりしていたのね。

斉信様が
「露は別れの涙なるべし」
なんて菅原道真の詩を吟詠し始められて、
宣方様も一緒に
趣深く誦じたりなさったんだけれど。

これって、織姫と彦星の別れの朝の詩ですもの、
「気の早い織姫ですこと」
って、申し上げてみたのよね。

もう、斉信様の悔しがったことったら。

「ただ暁の別れというだけで
思いつくままに口にしたのに。

いやんなっちゃうなぁ。

この辺りじゃ、この類のことを
よく考えずに口にすると
恥をかくんだから」

とお笑いになって

「人に話しちゃいけませんよ。
笑いものにされちゃうな」

とおっしゃって、

外が明るくなってきたので
「退散しなくっちゃ」
と逃げるようにお帰りになったの。

「七夕の折にこのことを申し上げたいわ」
と思っていたものの、
その後、斉信様が参議になられて、
七夕にお目にかかれそうにない。

「その前後にお見かけすればよし、
そうでなければお手紙を書いて、
主殿寮に持たせようかしら」
なんてもくろんでいたら、

ちょうど七月七日にいらっしゃったので
もう嬉しくて、

「あの夜のことなんか申し上げても、
おわかりになるかしら。

ただいきなり申し上げても
変なのって妙に思われるかしら。

そうしたらあの日のことをお話しよう」

なんて思ってしたことなのに。

少しも迷わずお答えになったのは、
ほんとうに「をかし」だわ。

拙訳
『枕草子』第百五十五段「故殿の御服の頃」より

2017年3月10日 (金)

香る花

香る花、好きです。

どれも甘い花の香りですが
その甘さもそれぞれです。

梅は凛とした気品のある清々しい甘さ。
沈丁花は可愛らしい清純な甘さ。
水仙は透き通るような潔い甘さ。
雪柳は梅と紛うきりりとした甘さ。

きらきらとこぼれる陽の光のもと
漂う甘い香りには
甘い言葉が似合います。

今日も芳しく香る一日でありますように。

2017年2月 4日 (土)

梅とメジロと上弦の月と。

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梅とメジロと上弦の月と。

メジロたち、
歌いながらの大宴会でした。

駒沢公園で。

2017年1月 1日 (日)

謹賀新年

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2016年9月 9日 (金)

重陽の節供

九月九日、グレゴリオ暦的には
重陽の節供でございます。

重陽の節供には
前夜から真綿を菊の花に被せて
花の香りを移し
その綿で顔や体を拭うと、
老いることなく寿命が延びるという
言い伝えがございました。
今風にはアンチエイジング効果でございます。

『紫式部日記』から。

九日、菊の綿を、兵部のおもとの持て来て、
「これ、殿の上の、とりわきて、
いとよう老のごひ捨て給へと、のたまはせつる」
とあれば、

菊の露わかゆばかりに袖ふれて花のあるじに千代はゆづらむ

とて、返し奉らむとするほどに、
「あなたに帰り渡らせ給ひぬ」とあれば、
ようなさにとどめつ。

拙訳

九月九日、兵部のおもとが菊の綿を持ってきて
「これ、道長様の奥様があなただけに特別にですって。
よぉく老いを拭い捨てなさいとおっしゃって」
と言うので

「いただいた菊の露はほんの少し若やぐほどに袖に触れ、
千代の寿命は花の主であるあなた様にお譲りいたしましょう」

とお返ししようとしたのに
「奥様、あっちにお帰りになられたわよ」
ということで無用になって
お返しを控えることにした。

このエピソード、主従が互いを思いやった
麗しき美談のようでもございますが。

同じく『紫式部日記』に

中宮の御前にあった『源氏物語』を見て
道長が梅の実の下に置かれた紙に

「すきものと名にし立てれば見る人の
折らで過ぐるはあらじとぞ思ふ」
(梅の身は酸っぱいものと知られているから
見る人は枝を折らずにはいられない。
好きものと評判のあなたも、
人は手折らずにいられないでしょうね)

とお書きになったので

「人にまだ折られぬものを誰かこの
すきものぞとは口ならしけむ」
(人に手折られたこともございませんのに
誰が好きものだなどと噂するのでしょう)

とお答えした、とあり、

その後、式部が渡殿の局に寝た夜、
訪ねてきた道長にしつこく戸を叩かれ、
恐ろしくて、諦めて帰るまで
音もたてずにじっと過ごした、
とございます。

また『尊卑分脈』に
紫式部は「御堂関白道長妾」
との記述があることなどなどから

紫式部と道長の関係は
古くからあれこれ憶測されております。

藤原道長の正室倫子は
道長の二歳年長。

道長にとって倫子との縁は
俗に言う「逆玉」でございました。

この年、寛弘五年、西暦一千八年、
紫式部は推定三十歳代半ば、
対して倫子、四十歳代半ば。

お二方いずれも、
当時としては年増大年増の域でいらっしゃいます。

「とりわきて、いとよう老のごひ捨て給へ」
と嫌味たっぷりの倫子に
「花のあるじに千代はゆづらむ」
と謙虚を装いつつ負けん気の紫式部、
と読めないでもありません。

あれこれ想像するに
穏やかならぬ重陽の節供
であったようでもございます。

皆様には穏やかに
菊の香りで老いを拭い去り
麗しき千代の寿命をご享受あそばされますよう。

2016年1月27日 (水)

幸せな朝

拙著をお求めくださった皆様、
ありがとうございます!

昨日は思いがけないお問い合わせをいただきました。
『たて書きの手紙』はありませんかって。

うっふっふ。嬉しいじゃありませんか。
一番最初に書いた本。
十二年前ですよ。

もうね、手元に数冊しかないけど
お分けしますったら、この際。

残念ながら
『あなたが花になる美しい日本語』は
もう入手不可。
デジタルブックでよろしければ
お求めいただけます。

ほかは仲良く背表紙を並べて
段ボール箱にお休み中。
お声を掛けていただけましたら
歌いながらお手元に飛んで参ります。

で、以下、再々コピペいたします。

手元に拙著の在庫がかなりの数ございます。

どれも私にたくさんのご縁と幸せと笑顔をもたらしてくれた
それぞれに思い入れのある本ばかりです。

立春前の身辺整理のため、この福本をお分けいたします。

ご興味をお持ちの方、どうぞこの機にお求めくださいませ。

『美しい人の美しい手紙』 
  心のぬくもりが柔らかく優しく伝わるような、
  そんな手紙が書けるようになります。

『手紙の作法』
  手紙のあれこれをさらに丁寧に手ほどきしました。
  手紙の楽しさを具体的にわかりやすく説明しております。

『母から学んだ、きちんときれいな暮らしかた』
  「新生活を始める娘にプレゼントしました」
  「何回も繰り返し読んでいます」だなんて
  嬉しい反響をたくさんいただいております。

『いつまでも、をんな』
  女の魅力は豊かに歳を重ねてこそ。
  美しく歳を重ねたいあなたに、ご覧いただきたい一冊です。

手前味噌ながら、どれも一読二読再々読の価値あり、
自信をもってお奨めする良書でございます。

すでにお読みくださった方には
コメントの形で福本販売にご協力いただけましたら
これ幸いでございます♡

新品をどの本も送料込、税込、一冊千円で販売いたします。
ご希望の方には見返し部分に署名をさせていただきます。

ご注文はメッセージ、コメント欄から承ります。
どうぞよろしくお願いいたします。

2016年1月24日 (日)

またまたお知らせ

しつこいようですが、この場を借りて
三度目のご案内を申し上げます。

手元に拙著の在庫がかなりの数ございます。

どれも私にたくさんのご縁と幸せと笑顔をもたらしてくれた
それぞれに思い入れのある本ばかりです。

立春前の身辺整理のため、この福本をおわけいたします。
ご興味をお持ちの方、どうぞこの機にお求めくださいませ。

『美しい人の美しい手紙』 
  心のぬくもりが柔らかく優しく伝わるような、
  そんな手紙が書けるようになります。

『手紙の作法』
  手紙のあれこれをさらに丁寧に手ほどきしました。
  手紙の楽しさを具体的にわかりやすく説明しております。

『母から学んだ、きちんときれいな暮らしかた』
  「新生活を始める娘にプレゼントしました」
  「何回も繰り返し読んでいます」だなんて
  嬉しい反響をたくさんいただいております。

『いつまでも、をんな』
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  美しく歳を重ねたいあなたに、ご覧いただきたい一冊です。

手前味噌ながら、どれも一読二読再々読の価値あり、
自信をもってお奨めする良書でございます。

すでにお読みくださった方には
コメントの形で福本販売にご協力いただけましたら
これ幸いでございます♡

新品をどの本も送料込、税込、一冊千円で販売いたします。
ご希望の方には見返し部分に署名をさせていただきます。

ご注文はメッセージ、コメント欄から承ります。
どうぞよろしくお願いいたします。

2016年1月22日 (金)

思い立ったが吉日

思い立ったが吉日とやらで 今一度ご案内を申し上げます。

手元に以下の在庫がかなりの数ございます。
どれも私にたくさんのご縁と幸せと笑顔をもたらしてくれた
それぞれに思い入れのある本ばかりです。

立春前の身辺整理のため、この福本をおわけいたします。
ご興味をお持ちの方、どうぞこの機にお求めくださいませ。

『美しい人の美しい手紙』    
 心のぬくもりが柔らかく優しく伝わるような、   
 そんな手紙が書けるようになります。

『手紙の作法』   
 手紙のあれこれをさらに丁寧に手ほどきしました。  
 手紙の楽しさを具体的にわかりやすく説明しております。

『母から学んだ、きちんときれいな暮らしかた』   
 「新生活を始める娘にプレゼントしました」  
 「何回も繰り返し読んでいます」だなんて  
 嬉しい反響をたくさんいただいております。

『いつまでも、をんな』  
 女の魅力は豊かに歳を重ねてこそ。  
 美しく歳を重ねたいあなたに、ご覧いただきたい一冊です。

手前味噌ながら、どれも一読二読再々読の価値あり、
自信をもってお奨めする良書でございます。

すでにお読みくださった方には コメントの形で
福本販売にご協力いただけましたら
これ幸いでございます♡

新品をどの本も送料込、一冊千円で販売いたします。
ご希望の方には見返し部分に署名をさせていただきます。

ご注文はコメント欄から承ります。
どうぞよろしくお願いいたします。

2013年8月 3日 (土)

遇成

秋立つ日まで数日を残すというのに、
薄い雲を隔てて朝の光が柔らかい。

窓の外の花水木はすでに
葉色を秋の色に染め始めている。

「偶成」  朱熹

少年老い易く学なり難し
一寸の光陰軽んずべからず
未だ覚めず池塘春草の夢
階前の梧葉已に秋声

春草の夢から、そろそろ醒めないと。

おはようございます。

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